ゼーホフ工房 松澤 孝一

肉屋が始めたハム・ソーセージ工房
―お店を始めた経緯を教えてください。
 実家が東大和市で肉屋をしていたのですが、精肉の販売だけではなく店の隣にハム・ソーセージの工房も持っていたんです。その工房がゼーホフ工房という名前でこの店の前身です。ゼーホフってドイツ語で湖畔という意味で、店の近くに多摩湖があったのでその名前を付けたようです。所沢に移ってきた際にも近くはないですが、狭山湖があるので名前はそのままにしました。
 
私自身については、家業を継ぐ明確な意思はなかったんです。何かしら役には立つだろと考えて簿記の専門学校に進んだのですが、卒業後に特にこれと言ってやりたいことも見つかっていなかったので、父親の勧めで知り合いのハム工房に2年くらい修行にいきました。その間にドイツのマイスターの学校に短期留学もして、ハム・ソーセージの作り方は覚えたので、そこから本格的にゼーホフ工房を手伝うことになりました。そして、23年くらい前に、父親がハム・ソーセージは独立させようと考えて、ゼーホフ工房だけをこの場所に移して、私が全て任されることになったんです。熱意を持って始めたというわけでなく、父親に従ってやってきたという感じですね。笑

ドイツの本格ハム・ソーセージを所沢の方へ
―商品へのこだわりは?
 
肉屋から始まっていますので、お肉にこだわって鮮度の良いものを使ったハム・ソーセージ作りは昔から変わっていません。一年を通して、商品ラインナップはあまり変わりませんが、季節ごとで好まれる味や商品がありますので、お客様のニーズを捉えてご用意しています。
 
所沢で始めたころは、サイボクハムさんと比べられることも多かったのですが、今は本格的なドイツのハム・ソーセージとして認知されてきているかと思います。ただ、ここまで来るのは大変でした。そもそもハム・ソーセージのレシピ集はあまりなく、あってもドイツ語の本ですので、それを専門家に翻訳してもらって、試行錯誤で開発をしてきましたし、ドイツの本場の味そのままですと日本人の味覚に合わないこともあるので、日本人の味覚に合うように調整するなど工夫してきました。

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自分のハム・ソーセージで人を笑顔にする
―仕事をしていてよかったことは?
 
駅からも離れていて、住宅街のような場所ですので、うちを目指して来て頂いている方がほとんどで、リピーターの方も多いのですが、お客様から「この前買ったあれ美味しかったよ」と言われるのは嬉しい瞬間ですね。コロナがあって2階のレストランは休業中ですが、レストランを始めたのは直にお客様が喜ばれている顔が見たかったからなんです。自分が作ったハム・ソーセージで誰かを笑顔に出来るのは職人冥利に尽きます。
 
あと、コンクールでの受賞は職人として自信になります。今まで受賞した中では、オランダで行われた国際コンクールで日本チャンピオンとして受賞したものが最高賞ですね。これは他のコンクールで受賞した職人だけが参加できるもので、その参加した日本人の中でトップを取ったものなので、自分の中でかなり自信に繋がった賞です。ただ、この受賞杯をレジ脇に展示していたら、試食の楊枝やレシートを捨てるのにちょうど手ごろなサイズだったので、ゴミ箱代わりにされてしまったので、今は棚に上げてしまっています。笑

地元密着でこれからもあり続ける
―今後の目標は?
 
所沢の地元密着でやっていくつもりですので、大きくしようとは考えておりません。だから、卸売りや他の店とのタイアップで商品開発などもやっていません。他と仕事をすると自分の店が忙しくなった時など手が回らなくなってしまうかもしれませんし、それで迷惑を掛けてしまうことも申し訳ないので、自分が出来る範囲でやっていくことを心がけています。昔から父親に「出来ない約束はするな」とよく言われてもいたので、その影響もあるのかもしれません。
 
今後の課題としては、後継者を育てていくことですね。長く続けてこられていますので、この先もお客様にお応えできるように、ゼーホフの味を守って継承してもらえる人材を育てていく必要があります。この先も所沢でドイツの本格ハム・ソーセージの店であり続けたいと思っています。

ゼーホフ工房

住所:所沢市けやき台1丁目8−5[地図
アクセス:新所沢駅西口徒歩13分
営業時間:10:00~20:00
定休日:水曜日
HP: http://www.seehof.jp/
TEL:04-2921-5511

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