うずら屋 本木裕一朗

うずらを愛し続けて半世紀
―お店を始めた経緯を教えてください。
 
うちはうずら農家がやっているうずら料理のカフェです。はじまりは先々代が乾物問屋をしており、鶏卵も取り扱っていたんです。乾物屋が鶏卵も売っていると聞くと不思議に思われるかもしれませんが、卵は日持ちがするものなので、昔は乾物屋で販売も普通だったんですよ。そして、昭和30年頃にうずらブームというものがあって、うちもうずらを始めました。
 うずらブームとは真偽は定かではないのですが、皇族の方で身体が弱かった方がうずらの卵を毎日食べたら健康になったという話からうずらの卵の栄養価の高さが評判になり、うずらの卵の需要が高まって桐箱に入るような高級食材になったんです。それで一攫千金を狙って、うずらを飼い出す人が増えて、今では考えられないですが、そこかしこのおうちでうずらを飼っていた時代があったんです。うずらはご存知の通りに鶏に較べてはるかに小さいですので、一畳分のスペースがあれば数十羽は飼えますし、鶏よりも成長が早いので、時間も掛からずに卵を産んでくれて、新しく始めやすいんです。でも、実際はそんな簡単なものでもありませんし、供給が増えれば価格も下がってきますので、だんだんと儲からなくなってうずら農家は減っていきました。
 
そんな中でもうちはうずらに可能性を感じて、うずらに絞って商売をしていく道を選び、当初はこの場所でうずらを育てていましたが、日高の方の土地を買って生産所を移して乾物問屋からうずら農家になりました。

世界に誇れるに日本発祥のうずら
―うずらについて教えてください。
 
実はうずらは渡り鳥で、世界中にいて大昔から人の暮らしの側にいた鳥なんです。古代エジプト語のヒエログリフにはうずらの雛が使われていますし、ギリシャ神話には女神アステリアがゼウスの求婚から逃れるためにうずらに変身したという話しもあります。ただ、今のように家禽となったのは歴史が浅くその発祥は日本なんです。だから、うずらの学名にはジャポニカが入っています。うちではフランス産のうずらも取り扱っていますが、本を正せば日本種が起源となっていますので、うずらは日本が誇れる鳥なんですよ。
 
そして、うずらの卵についてはブームがあったように栄養価は高く、たんぱく質、ビタミン類の他に葉酸も豊富なので女性の味方のような食材です。ただ、うずらは鶏に較べて国からの補助もなく、うずら農家が独自で飼育しているので、あまり研究がされておらず未知のこともあります。今後、うずらに注目が集まってきて、もっと食卓に並ぶようになれば新しい発見も出てくると思いますので、まだまだうずらには可能性があると思っています。

うずらの本当の美味しさを知ってもらいたい。
―お店の特徴を教えてください。
 
この「うずら屋」を開いた目的がうずらをもっと身近に感じてもらい、うずらの美味しさを知ってもらうことにあります。うずらの卵というと、中華丼などに入っている缶詰の水煮しか食べたことが無い方が多いかもしれませんが、本来のうずらの卵の味はあれとは全く違うんです。黄身の味はもっと濃厚ですし、白身が少ないので味が分離をせずに白身と一体となって味わえるものなんです。
 
それを一般の方はなかなか知らないので、このカフェでうずらの美味しさを知ってもらいたいと考えています。料理は全て新鮮なうずらの卵を使用したもので、うずらの卵の味を120%引き出せるようなメニューしか採用していません。うずらの卵の美味しさに驚いて頂けると信じています。デザートのプリンや焼き菓子なども全てうずらの卵から出来ていますので、様々なメニューに活用できることも知ってもらえれば嬉しいです。
 
うずらの歴史や栄養価の高さを訴えるよりも、純粋に美味しいと思ってもらうことが一番人の心を動かせますし、うずらを手に取ってもらう機会を増やせると思いますので、そのためにこの店をやっていますし、召し上がって頂いたお客さまの笑顔を見られた時は密かに心の中でガッツポーズをしています。笑

どんな時も楽しんでやる。
―今後の目標は?
 
この店を開いたように、うずらがもっと皆さんの食卓に並ばれるようになることが一番の目標です。うずらの卵をどう調理すればよいか分からないと言われることもあるのですが、熱湯で3分も茹でれば茹で上がりますし、殻だって簡単に剥けるんです。そんな事も知られていないのが問題ですし、何とかしないといけないと思っています。
 
うずら農家は減少傾向にあり大規模で生産しているのは、埼玉ではうちだけになっていますので、農家が手を取り合ってうずら業界全体で取り組んでいかないといけない課題です。昔、父がうずら生産が盛んな愛知の豊橋の業者と立ち上げた協会があったのですが、しばらく活動をしていなかったので私の方で改めて豊橋の方と一緒に協会活動を再開して、うずら農家が一緒になって取り組んでいこうと動き出しています。
 
私は遊戯三昧(ゆげざんまい)という言葉がモットーなんです。これはどんなに辛いことでもそれを楽しんでやるという言葉です。うずら生産は次から次へと問題が発生して、楽な商売ではありません。何でこれを選んじゃったのか後悔することも時々ありますが、辛いとだけ思っていたら、それ以上に良くはなっていかないです。辛くて厳しい状況に置かれてもそれを楽しむように工夫していけばきっと解決策は見えてきますし、どんな課題も乗り越えていけると思います。
 これからも遊戯三昧でうずらが皆さんの身近な食材になるように、この店からうずらの美味しさを発信していきますので、うずらの美味しさを未体験の方はまずは一度味わってください。きっと美味しさに驚かれますよ。

うずら屋

住所: 所沢市宮本町 2-5-8 [地図
アクセス:航空公園駅西口徒歩6分
営業時間: 月曜~土曜 9:00 ~ 17:00(テイクアウトL.O 16:30)
定休日:日曜日
HP: https://uzuraya.com/
TEL: 04-2935-3000

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