maholz(マホルツ) 伊藤真穂

おもちゃの村から来た木工玩具のお店
―お店を始めた経緯を教えてください。
 
私はドイツで修業をした木工玩具職人で、新座に自宅兼工房を持っていたのですが、お店をやりたくて物件を探していたら、この場所が空いていたので、1年前に引っ越してこのお店をオープンさせました。ここは駅からは遠いですが、地下もあって工房として使えるので、理想的な場所です。お店にはまだ自分の作品は出せていないのですが、ドイツの知り合いの工房の作品などを輸入して販売しています。ドイツの木工玩具を販売している店は少ないので、お好きな方は遠方から足を運んで頂いています。
 
ドイツの木工玩具は馴染みがないかもしれませんし、くるみ割り人形くらいしかイメージされないかもしれませんが、ドイツではクリスマスやイースターの時期になると飾られたりするもので、日本でいうと雛人形や五月人形に近いかもしれません。私が修行に行ったザイフェンという村が木工玩具職人の村で、伝統を受け継いでいる工房が沢山あり「おもちゃの村」とも呼ばれています。それぞれの工房でその工房らしい作品を作っていますので、様々な個性があって見ていて飽きないですよ。

日本では珍しい木工玩具職人が所沢に。
―なぜ木工玩具職人になろうと思ったのですか。
 私が通っていた自由学園が、自主独創の精神を大切にしていて、生徒自らが考えて自分たちでやるので、生活即教育として日々の掃除や手芸など小さいころから手を動かすことに慣れていましたし好きでした。授業も少し変わっていて、大学の時には自分たちで授業をする時限もあったので、友達と一緒にドイツ語の教室を始めてドイツ語の勉強をしました。卒業後は会社に勤めていたのですが、手を動かして物を作ることが好きでしたので、手に職を付けたいなと思うようになり、それならドイツ語も勉強したので、ドイツで何か職を付けられないかと探しはじめました。
 
その頃はインターネットもまだ無かったですし、ドイツに修行に行くにはどうしたらいいか分からなかったのですが、家の近所にドイツ語を教えている方がいて、昔から仲良くさせてもらっていたのでその方に相談したら、方々当たって頂きザイフェン出身の方に行き当たったんです。そして、いくつかの工房に確認して頂いたら、私がお世話になった師匠のところがたまたま一人受け入れられるとのことだったので、では行きますとすぐにドイツへ。
 
ドイツで職人になるためには、マイスターの工房で働きながら専門の学校で勉強をする必要があるのですが、工房もいつも人を募集しているわけではありませんので、すぐに行けたのは本当に運が良かったと思います。工房で働きながら3年間勉強をして、木工玩具職人の資格を取得することができましたが、日本人で木工玩具職人の資格を取得しているのはかなり珍しいんですよ。

日本の暮らしに寄り添う木工玩具
―どのような作品を作っているのですか。
 
ドイツの木工玩具は、クリスマスやイースターの時に飾るようなサンタクロースや天使などをモチーフにした作品もありますが、日々の暮らしや職業をモチーフにした作品も多くあります。ザイフェンの村はもとは炭鉱の村だったんですが、鉱山が閉鎖されて仕事が無くなった村人が、新たな収入源として村の木を使って家庭で作り始めたのが木工玩具の始まりです。家族で木工玩具を作っている様子や小学校の授業風景の作品があったり、木工玩具を背負って行商している人など職業を表現した作品もあり、ドイツの生活や暮らしを現したのが木工玩具です。
 
だから私も日本の文化や暮らしに寄り添うものを作りたいと思い、日本らしさを大切にした作品を作っています。ただ、今はメインの作品が雛人形なんですが、これが結構大変でぼんぼりや桜の花など細かいものも全て一人でやっているので、夏ごろから始まって2月まで掛かり、これ以外の作品を作る余裕があまりないんですけどね。今後、日本の暮らしに合わせて生活の中で飾って頂けるような作品を作っていきたいと思っています。

木工の技術を繋いでいく。
―今後の目標は?
 
このお店と自分の作品づくり以外に、自由学園でカルチャー教室として木工教室の講師もしています。木工はろくろを回して木を削っていく作業ですが、初めての方でも少しやればコツをつかんで自分が作りたいものを作ることもできますので、生徒さんの中には自分で使うコップやお皿を作られている方もいます。皆さん楽しんでやって頂いていますし、物つくりの喜びを感じて頂いているので、木工を色々な人に体験してもらう教室をここでも出来ればとは思っています。
 あと、これはいつかの目標ですが、木工玩具のマイスターに挑戦もしたいです。ドイツでは後継者がいなくて畳んでしまう工房も年々増えてきていて、木工玩具作りの技術の伝承は今後の課題となっています。私も木工玩具職人の資格は取得していますので、技術をこの先も伝承していくためにもマイスターの資格にチャレンジしたいとは思っています。ただ、マイスターになるには技術だけでなく、会計や人事、労務など経営についても深く学ばなければいけませんので、いつかはですけどね。
 私は人の縁に恵まれていると思います。ドイツに修行に行けたのもたまたま近所にドイツ人と知り合いの方がいたからですし、たまたまそこで人を探していたからです。同じ自由学園繫がりでお仕事をしたり、色々と助けてもらったりと人と人の縁が繋がって今まで来ているように感じます。だから、これからもこの縁を大切にしつつ、培った木工の技術を生かして誰かの役に立てればいいなと思っています。

maholz

住所:所沢市上新井2-70-12[地図
アクセス:西所沢駅徒歩14分
営業時間:水曜~土曜日 11:00~17:30
定休日:日曜~火曜日
HP:https://maholz-holzfiguren.business.site/
TEL:04-2000-2721

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